COLUMN

働き方改革 創造性3倍、労働生産性1.3倍!?
組織を成長させる幸福度の高い
コミュニケーション

2021/05/31

働き方改革や新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、急速に変化しているビジネス環境。従来型の組織やマネジメントスタイルの変革が求められる中、注目を集めているのが「社員の幸福度」を重視する組織づくりだ。社員の幸福度向上は、創造性や労働生産性を高め、業績面にも好影響をもたらすという。ニューノーマル(新常態)時代に求められる組織の在り方とは。また、その実現に必要なことは何なのか。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授であり、著書に「幸せな職場の経営学~『働きたくてたまらないチーム』の作り方~」を持つ前野隆司氏に話を聞いた。

前野隆司(まえの たかし)

慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント 研究科教授 1984年東京工業大学工学部機械工学科卒業、1986年 東京工業大学理工学研究科機械工学専攻修士課程修 了、同年キヤノン株式会社入社、1993年博士(工学)学 位取得(東京工業大学)、1995年慶應義塾大学理工学 部専任講師、同助教授、同教授を経て2008年よりSDM 研究科教授。2011年4月から2019年9月までSDM研究 科委員長。この間、1990年-1992年カリフォルニア大学バークレー校Visiting Industrial Fellow、2001年ハーバード大学Visiting Professor。
目次

組織の9割が働き方改革に失敗。
必要なのはモチベーションを高める
コミュニケーション

「アメリカの研究では、幸福度の高い社員はそうでない社員と比較して創造性は3倍、生産性は31%、売上げは37%高いというデータがあります」。そう話す前野氏は、多くの企業が陥りがちな「短期的な利益の追求」に警鐘を鳴らす。「いかに時短するか、業務を効率化するか、という目先の数字に気を取られるあまり、9割の企業が働き方改革に失敗している。長期的な利益を実現するために、社員のモチベーションを考慮したコミュニケーションが求められています」。

是非、自分の胸に手を当てて振り返ってほしい。コミュニケーションの問題は、上司部下間や経営層社員間で起きやすいとの調査があるが、業務連絡の際、まるでロボットに指示するかのような言葉を投げつけていないだろうか。ロボットと違い人には心が存在するため、一方的な命令によって“やらされ感”が芽生えると、モチベーションを失いパフォーマンスが下がってしまう。短期的には効率的に見える指示が、結果として長期での効率化を阻害してしまうのだ。このような状況を踏まえ前野氏は、「人の心に寄り添う、幸福なコミュニケーションが重要」と提言する。「例えば、部下に仕事を依頼するとき、単に内容と期日だけを提示するのではなく、相手に対する期待や感謝も一緒に伝えてみてください。議論より対話。フラットな目線で、好奇心をもって相手を理解する姿勢が大切です。部下の幸福度を上げるコミュニケ―ションを心がけましょう」。

社内のどこにコミュニケーションの課題を感じるか?(複数回答)

  • ・当社調べ(2020年8月実施)
  • ・会社員計505人にインターネットで実施
    ( 「社内のコミュニケーションにおける課題感の有無」に「 有」と回答した325人を対象に調査)

業績が上がる事例も多数!
「幸福なコミュニケーション」が
組織にもたらすメリット

「幸福な社内コミュニケーション」を実現するには、組織のトップの意識改革が不可欠と前野氏は断言する。「行動原理の中核に『社員の幸せ』を本気で据え、経営層や管理職が我が子や家族に接するような深い愛情をもって従業員を大切にすれば、組織の雰囲気は徐々に変わり始めます」。実際に前野氏が企画委員を務める「ホワイト企業大賞」というアワードでは、ノミネートされる企業の多くが業績面においても好調で、十数年にわたり増収増益を続けている企業もあるという。これらの企業が実践したのは、互いを人として尊重するという、ごく当たり前のことだ。

一見ムダにも思えるコミュニケーションだが、前野氏は「長期的な視点に立てば、組織にもたらすメリットは非常に大きい」と力を込める。「手厚いコミュニケーションによって信頼関係が構築されると、ルールやマニュアルが減ります。信頼のもとで権限を委譲された社員は、程良い緊張感を持って責任を全うしようと行動します」。社員を信用できない組織ほど、数多のルールやマニュアルで人を縛り、逸脱を許さない。そのような息苦しい環境で自発的なモチベーションや自由な創造性が生まれないのは、火を見るよりも明らかだ。反して前向きに仕事に取り組める環境であれば、心身の健康にもつながる。モチベーションの高い社員らが一丸となって長く健やかに働くような幸せな組織は、繁栄するに違いない。

ニューノーマル時代の社内コミュニケーションは、
デジタルツール活用が鍵

現在コロナ禍で危機に直面している企業は多い。しかし、「幸福なコミュニケーション」が浸透する幸せな組織の経営は揺るがないという。「すでに家族のような一体感が醸成されており、『みんなで乗り越えよう!』と団結に向かいます。」と前野氏。先を見通すことが容易ではない時代を迎え、環境変化に振り回されることがないのも幸せな組織の強みだろう。では対面でのコミュニケーションの機会が減った状況で、今から「幸福なコミュニケーション」を始めようとするにはどうすべきか。

ひとつは、ビジネスチャットツールをはじめとしたデジタルツールの導入が有効だ。チャットツールはプライベートでも多くの人がコミュニケーション手段として日常的に使用しているため、ビジネスにも抵抗なく取り入れやすい。前野氏は、その運用のポイントとして「文章の丁寧さ」を挙げる。淡白な文章は冷たく高圧的な印象になってしまいがちであるため、特に確固たる信頼関係を築くまでは、相手の感情に配慮した丁寧さが問われる。

加えて、ビデオ会議を併用するのも良いのだそうだ。「1対1のオンラインミーティングを重ねれば、社員やチームメンバーとの相互理解が進みやすい。モニターが高精細になってきているので、実際に会っている感覚とも変わらないはず。近況報告を兼ねた昼食会や雑談会をこまめに開催すると、社員同士の心の距離も縮まるでしょう」。デジタルツールはその気軽さや迅速さからフラットなコミュニケーションを手助けしてくれ、物理的な場所にとらわれない利便性も兼ね備えている。上手に活用することができれば、これまで以上に「幸福なコミュニケーション」が加速するのかもしれない。

コミュニケーションによる「幸せの追求」は、
合理的な経営戦略

前野氏は「幸せな組織ほど栄える」と太鼓判を押す。そもそも日本は「和の国」と呼ばれ、人々が仲良く力を合わせ、新しいことにチャレンジしてきた歴史がある。幸福なコミュニケーションで社員たちのモチベーションが高まれば、労働生産性や創造性が向上し、イノベーションが起きる。コミュニケーションによる「幸せの追求」は、事業スケールにつながる合理的な経営戦略と言えるだろう。

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