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働き方改革

リモートワークとは?テレワークとの違いから導入のポイントまで解説

ここ数年、「リモートワーク」を導入する企業が増えています。新型コロナウイルス感染症の流行がその背景にありますが、企業と従業員の双方にメリットがあることが改めて注目されています。厚生労働省や総務省などの公的機関では 「テレワーク」という名称も用いられていますが、どのような違いがあるのでしょうか。これから導入を検討する際に知っておくべきポイントについて解説していきます。

リモートワークとは?テレワークとの違いを解説

IT系企業を中心に働き方の見直しが本気で検討され始めたのは、東日本大震災による交通インフラの障害で自宅業務の必要が生じたことや、その後の節電への対応、さらに売上の減少による事業の見直しが契機になっています。 

その後、新型コロナウイルス感染症  の流行によって導入が進むとともに、メディアで「リモートワーク」や「テレワーク」という言葉をよく見聞きするようになりました。

業界や団体によって使われる言葉が異なりますが、いずれも造語で画一的な定義があるわけではなく、基本的に同義語としてとらえても問題はありません。  それぞれの言葉の意味や認識についてみていきましょう。

テレワークとの違い

テレワークとは、離れたを意味する「tel」と仕事を意味する「work」を合わせた造語です。

日本で唯一の学術研究団体である日本テレワーク学会(1999年設立)によると、「情報通信手段を業務活動、ことに就労形態に取り入れることにより、その空間的束縛からの解放を図ること」と定義されています。

また、厚生労働省の定義では、テレワークは、「情報通信技術(ICT=Information and Communication Technology)を活用した時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方」としています。

一方のリモートワークは、遠隔を意味する「remote」と、仕事を意味する「work」を合わせた造語です。日本では、IT業界で用いられることが多いようですが、内容としては特段、テレワークと違いはありません。

前述の日本テレワーク学会では、リモートワークという名称を用いていないことから、テレワークと同義語ととらえてもよいでしょう。本稿では、以下、新しいワークスタイルをリードするIT業界に敬意を払い、本文ではリモートワークで表記したいと思います。  

導入の進んでいるIT業界では、対面のオフィス勤務を組み合わせる柔軟な働き方を認める企業も増えており、この場合はハイブリッドワークと称しています。

なお、リモートワークは、広義では雇用型リモートワークと自営型リモートワー クがあります。後者の自営型リモートワークとは、自宅を拠点に事業を展開する個人事業者や小規模事業者がICTを駆使して行う働き方の形態です。

その一方で、前者の雇用型リモートワークについては、勤務場所との関係で「在宅勤務」「モバイルワーク」「サテライトオフィス」の3つの類型に分けることができます。 

リモートワークの現状

リモートワークの導入がどの程度進んでいるのかをデータでみる場合、コロナ禍による緊急事態宣言下という状況は特殊事情として考慮すべきです。

理由は、本来、リモートワークに馴染まない業務についても対象としていた可能性が高いからです。また、ICT環境が不十分な状況だけでなく、そのほかの体制が整備されずに導入に踏み切ったケースも考えられます。こうした企業では、緊急事態宣言が解除されれば、通常の対面業務に戻すことになります。

ここ数年のリモートワーク実施率の動向について、東京商工リサーチが実施した「新型コロナウイルスに関するアンケート」調査をみてみましょう。

参考:東京商工リサーチ「新型コロナウイルスに関するアンケート」

リモートワーク実施率 は、最初に緊急事態宣言が発出された2020年3月頃から一気に高まり、2020年5月には全体で半数以上の企業がリモートワークを導入(大企業は8割以上が導入)。その後、減少したものの、大企業を中心に依然として多くの企業がリモートワークを 実施していることがわかります。

リモートワークのメリット・デメリット

リモートワークを導入するのは、当然のことながらメリットがあるからです。しかし、その反面、デメリットがあることも認識しておく必要があります。

企業側と従業員の双方について、メリットとデメリットを考察してみましょう。

リモートワークのメリット

まず、メリットからみていきましょう。

①企業側のメリット

・コスト削減
リモートワークでは、基本的に本来の勤務場所への通勤がなくなるため、従業員に支給する交通費が不要となります。また、オフィスの光熱費も削減されます。

リモートワークが定着すれば、オフィス自体の縮小や閉鎖も可能となり、大幅なコスト削減につながります。

・人材の定着と確保
リモートワークの導入は、その企業が働き方改革に積極的に取り組んでいる証左であり、企業イメージの向上にも直結します。人材確保にもプラスになるでしょう。

また、育児・介護のほか、配偶者の転勤で従来、退職を余儀なくされた優秀な人材も勤務を続けることができます。オフィスと居住地の距離に関係がないことから、地方での人材確保も可能になります。

・災害時の事業継続
災害が起きた場合、その規模によって多くの帰宅難民が生じて、事業が継続できなくなるといったリスクがあります。こうした事態も想定し、リモートワークを導入していた企業  は、災害時でも事業がストップしてしまうことなく、継続して事業が進められたといった事例もあります。

新型コロナウイルス感染症の流行によって、リモートワークのメリットが強調されたのは、この点ではないでしょうか。リスクマネジメントとしても導入の検討の価値があります

②従業員側のメリット

・通勤時間削減
従業員としては通勤がなくなれば、通勤ラッシュから解放されることになります。単に時間の削減という問題だけでなく、肉体的・精神的にもゆとりを持つことができるのは、健康上も大きなメリットといえるでしょう。

・ワークライフバランスの改善
通勤に費やしていた時間が削減、あるいはなくなれば、その時間を有効に活用することができます。自己啓発、あるいは趣味や家族と過ごすことでワークライフバランスが改善されます。

リモートワークのデメリット

では、デメリットとしては、どのようなことが挙げられるのでしょうか。

①企業側のデメリット

・勤怠管理のコスト増
リモートワークを導入すると、従来型のタイムカードで勤怠管理している場合は対応することができません。タイムレコーダーを使用せずに打刻・申請承認・休暇管理できるクラウドによるシステムなどの導入が必要になるため、一定のコストが増えることになります。

・セキュリティリスク
リモートワークでは、従業員は自宅やカフェなど、オフィス以外の場所でパソコンやモバイル端末を使用して仕事をします。

企業の機密情報を外部に持ち出す機会が増えれば、記録媒体を紛失するリスクも高まります。他人が情報を閲覧したり、外部のWi-Fi接続から情報が洩れたりすることも想定する必要があります。

②従業員側のデメリット

・仕事の環境確保
仕事をするうえで従業員にとって環境は重要な課題といえます。自宅でオフィスと同様の環境を整えるのは簡単ではありません。デスクや椅子だけでなく、通信環境を見直さなければならないこともあります。また、小さなお子さんがいる場合は、仕事に集中できる環境を整備することが不可欠です。

・光熱費負担の発生
会社側がオフィスの光熱費を削減できる反面、その分は従業員に転嫁される可能性があります。

特に終日、自宅で業務をする場合には、大幅に光熱費が増えることも考えられます。

リモートワーク導入の4つのポイント

リモートワーク導入によるメリットとデメリットを整理したところで、実際に導入する場合の押さえておくべき4つのポイントをご紹介しましょう。

段階的な導入

リモートワークに限らず、人事制度は一度に全面的に変えてしまとうまく機能しない場合もあります。  想定外の事態も生じることがあるため、試用期間を設けるなど段階的に実施していく必要があります。

職種の選別

リモートワークは、事務職のほか、裁量労働の対象となるシステムエンジニア、プログラマー、デザイナー、ライター・編集者などの職種に向いている働き方です。

営業職の場合も、自宅を拠点とすることで出社のための移動時間がなくなります。Web会議ツールを使用すれば、 非対面で営業することも可能でしょう。  

ただし、機密情報を扱う職種については、セキュリティ面での整備が十分に整うまでは導入すべきではありません。

なお、指摘するまでもなく、店舗でしか商品やサービスを提供できない販売などの職種や、設備が必要な製造現場の職種は向いていません。

人事制度の整備

勤怠管理はもちろんのこと、リモートワークを入れることに伴う新しいシステムの導入を検討する必要があります。

また、コミュニケーション不足はリモートワークでは不可避の課題です。評価制度においても、リモートワークを前提にした仕組みにする必要があります。上司と部下の間ではオンラインでの1on1ミーティングを定期的に実施するなど、対面の場合よりも納得性を高める工夫をしましょう。

コミュニケーションツールによる情報共有

コミュニケーション不足対策としては、最近、急速に普及しているビジネスチャットがおすすめです。

メールと異なり、ビジネスチャットは複数の相手と同時にリアルタイムにコミュケーションがとれ、気軽にツールで会話できるのが特徴です。特に社内のフランクなやりとりに向いており、リモートワーク中、チーム間で活用すれば、疎外感の防止や社内コミュニケーション活性化などの  効果が期待できます。

コミュニケーションアップにつながるチャットツールelgana活用術については、こちらをご覧ください。

まとめ

新型コロナウイルス感染症の流行で導入企業が増えているリモートワークについて解説してきました。テレワークと同義語で使われているのが実情であり、特に区別することもないと思います。

導入企業は、ピーク時よりも減少していますが、それは制度だけでなく、セキュリティも含めた環境整備が徹底している企業に落ち着いてきていることが背景にあると考えられます。

欧米ではすでに当たり前の働き方であり、ICTが普及している今、導入を検討する価値は大いにあります。

坪 義生
社会保険労務士
じんじ労務経営研究所代表(社会保険労務士登録)、労働保険事務組合鎌ヶ谷経営労務管理協会会長、清和大学法学部非常勤講師、「月刊人事マネジメント」(㈱ビジネスパブリッシング)取材記者。千葉大学大学院社会科学研究科修士課程修了(経済学)。社会保険診療報酬支払基金、衆議院議員秘書、㈱矢野経済研究所、等を経て、91年、じんじ労務経営研究所を開設。同年より、企業のトップ・人事担当者を中心に人事制度を取材・執筆するほか、中小企業の労働社会保険業務、自治体管理職研修の講師など広範に活動。著書に『社会保険・労働保険の実務 疑問解決マニュアル』(三修社)、『管理者のための労務管理のしくみと実務マニュアル』(三修社)、『リーダー部課長のための最新ビジネス法律常識ハンドブック』(日本実業出版社、共著)などがある。

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