安否確認システムのサブツールとしてチャットツールを検討。
通常業務での活用も視野にelganaを導入。
導入のきっかけ
名阪近鉄バス株式会社は三重交通グループホールディングスの一員として、愛知県・岐阜県・三重県の東海地方で貸切バスの運行や岐阜県大垣市を中心に路線バスを運行するほか、名古屋と京都・大阪をむすぶ高速バスを運行するなど地域密着で事業を展開しています。
弊社は社員の7割近くがドライバーで日常業務にパソコンを利用していないということもあり、全社員にはメールアドレスを付与しておらず、かつての社内コミュニケーションは電話や紙での連絡が中心でした。そのような状態では緊急時にスピーディに連絡することが難しく、さらにグループ全体の方針として、すでに導入済みの安否確認システムが何らかの理由で使用できなくなった場合に備えて代替手段を用意することになり、新たにチャットツール導入の検討をはじめました。
BCP対策の強化だけを考えるなら、同じような安否確認システムをもう一つ追加するだけでもいいかもしれません。しかし、普段ほとんど使わないツールを増やしても、習熟度が上がらず、いざという時にうまく使いこなせないのではないか?という懸念もありましたので、「せっかく追加で導入するなら、通常時のコミュニケーションにも使えるものを」ということでチャットツールも含めて検討を進めました。
約10種類のチャットツールをテスト。
自社に必要な機能と費用を見極めてelganaを選択。
導入の決め手
安否確認システムの代替手段というところから話が始まっていますので、当初はコスト重視でツールを探していました。しかし、いろいろなツールを調べてみると、安いものは「かゆいところに手が届かない」ものが多いんですよね。既読確認ができなかったり、ユーザー管理に関しても個別の権限が付与できないなど、欲しい機能がなかったり。社員のモラルを信じて「自由に使ってください」というのであれば細かな管理機能などは不要かもしれませんが、会社のルールに則って運用するとなると、情報セキュリティやハラスメントなどのリスクも考えた上で、一定の管理を行わなければなりません。そういった管理面での機能性と費用のバランスを考慮しつつ、10種類以上のツールを比較検討した結果、最も弊社に合っていると感じたのがelganaでした。
elganaに決めてから現場への導入に要したのは1か月間ほど。管理側の設定などは非常に簡単でスムーズだったのですが、社員の中にはスマートフォンの操作に慣れていない人も多く、アプリのインストールからログインまでの手順で戸惑うケースがありました。それでも各拠点の社員の協力のもと、現在はほぼすべての社員への導入が完了しています。
乗務予定の共有をきっかけにelganaが浸透。
事故発生時のエスカレーションも、わずか数分で完了。
導入当初は少々苦戦したものの、現在は、事務系の社員をはじめ、ドライバーのみなさんも日常的にelganaを活用しています。弊社社員の7割近くを占めるドライバーさんたちの活用度をいかに高めるかが大事なポイントだったのですが、勤務予定などを伝える「点呼簿」をelganaで共有するようにしたことで、結果的に多くのドライバーさんへの浸透が進みました。
以前は営業所に点呼簿のプリントアウトを貼っておいて、ドライバーさんが業務終了後などにそれを確認していたのですが、今は営業所ごとにトークルームを作ってそこにPDFを送るようにしているので、いつでも必要な時にスマートフォンで参照できます。休日にわざわざ営業所に来て点呼簿を確認する人もいたのですが、そういった面倒がなくなったことはelgana導入による大きな変化ですね。
もう一つ大きな効果として、事故が発生した際などの社内共有が格段に早くなったことが挙げられます。これまでは事故発生から社内の上層部に届くまで1~2日ほどかかっていました。しかし、elganaなら関係者全員に一気に情報共有できるので、早ければ数分でエスカレーションが完了します。正式な報告は今も時間をかけて書類を作っていますが、それ以前の段階で速報だけでもすぐに共有できるようになったことは危機管理という面において非常に重要なことです。以前は、報道機関などからの問い合わせを受けて初めて事故の発生を知るといったケースもありましたが、そのような事態も避けられるようになりました。事故対応は企業の信頼にかかわることですから、この変化は非常にありがたいです。
ワークスペースを分離し、より安心な体制に。
弊社のほかに、関連会社の名阪近鉄旅行株式会社とミドリサービス株式会社にもelganaを導入していますが、ワークペースはそれぞれの会社ごとに分けて運用しています。別法人だからという理由のほか、ある程度の垣根を設けることで無用のトラブルを避けるといった狙いもあります。ただし、地震発生時など各社が迅速に連携しなければならない事態もありますので、現在は、例えば名阪近鉄旅行の一部管理職にも名阪近鉄バスのワークスペースにアカウントを付与するといった運用も行っています。
社員がもっと積極的に情報発信できるように。
現場の実状に合わせて運用ルールを調整。
導入から約1年。正直なところ、まだelganaの活用法をよく理解していない社員もいます。今後は、そういった人たちも巻き込みながら、社員みずからが活発に情報発信してくれるような運用を目指したいと考えています。
そのためには、今の運用ルールを緩めることも必要かと思います。最初からルールを緩くしてしまうと後になって管理を厳しくするのが難しくなりますので、導入当初はいろいろと機能制限を設けていましたが、運用を続けているうちにリスクの有無や程度がわかってきましたので、今後は状況を見ながら少しずつオープンにしていこうかと考えています。
事務職の人間は現場の人たちと話す機会が少ないので、elganaを通じて現場の声がよく聞こえるような状況を生み出していきたいですね。