1200年にわたり受け継がれた業務をICTツール導入により効率化
その入り口をelganaが担う
事業内容について
比叡山延暦寺は、最澄を開祖とする天台宗の総本山です。開創から1200年以上も灯し続けられてきた「不滅の法灯」が見守る僧侶たちの修行の場であり、年間約400もの法要を執り行う国内有数の寺院で、多くの参拝者が訪れます。並行して国宝や重要文化財等の保存管理、比叡山宗教サミット「世界平和祈りの集い」などの宗教行事を開催するなど、取り組みも多岐にわたっており、情報伝達の円滑化が慢性的な課題となっていたことから、ICTツール導入による効率化に乗り出しました。その第一歩となるのがelganaです。
双方向のセキュアなコミュニケーション環境がelganaで実現
導入の決め手
1700ヘクタールという広大な山中にあり、1200年を超える歴史を歩んできた天台宗の総本山である比叡山延暦寺は、伝統をそのままの形で継承する風土も相まって、事務作業のベースは未だに書類・印鑑・電話といったアナログな手法のままです。全職員への情報伝達に3日ほどタイムラグが生じることもあり、ペーパーレス化・IT化への対応は喫緊の課題と感じていました。そんな折にNTTグループの営業担当者よりelganaの提案を受けました。
導入に至った一番の決め手は、ビジネスに特化したチャットであり、情報漏えいを防止するための様々な設定ができる管理者機能が決め手です。
他社の類似サービスには職員が既に使い慣れているものもありますが、管理者が不在のため情報漏えいが心配でした。また、個人で登録したアカウントを使っての業務上のやり取りおよび情報共有については、「公私混同はできれば避けたい」という意見もありました。こういった職員の意見やプライベートな情報にも配慮した働きやすい職場環境作りが、組織にとってますます重要になるでしょう。
elganaは管理者が登録したユーザーのみが利用可能なので、登録された職員以外への誤送信などが心配のないクローズドな環境なので安心です。また、管理者は利用ログを見る権限も持つので、実際の使用状況の把握、情報が伝わっているかどうかの確認もできると考えました。
また、設備の初期投資が不要な点も決め手となりました。個人が保有するスマートフォンや既存のPCでも利用可能なため、新たなデバイスを準備する必要がないことも大切なポイントです。以上の点から、今後の業務連絡はelganaを通して行うことにしました。
また、延暦寺は職員の平均年齢が高く、全職員の足並みをそろえてスタートするのは難易度が高いと考えました。そこで、まず2021年2月に私が在籍する総務部から試用し、職員の反応や感触を確かめながら比叡山延暦寺事務所へ、そして同じ年の9月に僧侶も含め全職員へと段階的に利用拡大を進めました。
各端末の設定は、紙のマニュアルを配布して各自で設定する方法をとりました。管理者がアカウントの開設状況を把握できるので、アカウント作成が遅れていると思われた職員は同じ部署内でITの得意な若手に助け合ってもらえるよう促しています。今ではすべての勤務者がアカウントを持っています。発信者は全体の2割、残りの8割は受信のみという状況ですが、タスク機能なども試して今後、より活用できるシーンを検討したいと考えています。
身近で役立つ情報をタイムリーに発信。
便利さを実感してもらいICTツール導入への抵抗感を減らす
導入後の効果
紙ベースでの情報共有と比較すると、職員への一斉送信がリアルタイムで瞬時にできるようになり非常に助かっています。既読者が確認できるところもelganaの便利な点です。
最も活用しているシーンが交通情報です。車で延暦寺へ来るには、比叡山もしくは奥比叡ドライブウェイを通行することになります。毎朝7時に道路状況の連絡が管理会社から入るのですが、雪や台風など、天候の影響により凍結や倒木で通行止めになることも少なくありません。そこで車通勤者だけからなる約100名のグループを作成し、入手した運行情報をelganaで一斉に毎朝配信しています。通行止め・解除の他にもスタッドレスタイヤでのみ通行可、職員のみ通行可・一般車は通行止めなど、そのときの状況を詳細に遅延なく届けられています。既読者表示機能のおかげで、伝達漏れも確認できます。メールだと既読か未読か不明で、電話で確認するという前時代的な解決方法になりがちです。elganaのおかげで、車通勤が非常にスムーズになったと実感しています。
参拝客の忘れ物情報を現場の職員で共有し、所有者から問い合わせがあったときに引き渡しをスムーズにできたという声も聞きました。参拝者は年間50万人、最も多い秋の行楽シーズンになると忘れ物もかなり多く、どこで落としたか不明なことも多々あります。広大な境内ならではの使い方ですね。その他、勤怠管理や休暇取得の連絡にもelganaを利用しています。アンケート機能を利用して日程調整ができる点も非常に便利です。
運用にあたっての使用ルールは特に設けてはいませんが、情報漏えいを防ぐ観点から外部の関係者は招待していません。リスクをあらかじめ減らしてelganaの運用を効率化するのも大切なポイントだと考えています。
ただ、活用していくなかで、もっとelganaを効率的に業務に役立てるため、様々な機能のアップデートを望むところもあるので、今後のelganaの進化に期待を寄せています。
参拝者のための業務へリソースを集中。
年齢層が高い宗教法人においてもDX化は実現可能
今後の展望
宗教法人という場は長い年月にわたって手作業が基本です。毛筆による書物や告知などは日常的に用いますし、数多くの文化財を含め、人が手を動かし想いを込めた書き物であふれています。それらはたとえ非効率であっても大切に守り伝えねばなりません。一方で、ICTツールによって事務作業が簡略化できたら、その時間をより重要法要の研鑽や参拝者への対応のために有効活用できます。宗教法人であっても、一人1台のタブレットをインフラとして持つ時代だと個人的には考えています。その第一歩として、デジタルデバイスの操作に慣れるためにもelganaは最適なツールではないでしょうか。
今回のelgana導入を一つの契機として、当たり前のように取り組む業務やコミュニケーションを見つめ直し、いかに現代の技術を取り入れていくか、どのような可能性があるかを一人ひとりが考えてそれぞれの仕事に向き合っていければと思っています。今後もICTツールによって効率化できる業務は効率化しつつ、守るべき伝統は守り、発展していきたいと考えています。