幸福度日本一のまちづくりに向けて業務改善・効率化を推進。
テレワーク制度も積極的に導入
事業内容について
長与町では、2021年度に『長与町第10次総合計画』を策定し、「人・緑・未来 つなぎ はぐくむ ながよ ~幸福度日本一のまちをつくる~」をキーワードに、まちづくりの方針を定めました。
総務課では、こうしたまちづくりを推進する事業実施部署をサポートし、業務改善等を通じて、事務の効率化を促しております。
また本町では、2016年度から、全部署が業務改善策を1案ずつ出し、その年間取組において顕著な実績を上げた部署や、大きなコスト削減を達成した部署を表彰する『変わらんば計画』という事業を実施しています。デスク周りの整理から、契約手法の変更など、様々な取組が毎年発案・実施されており、業務効率化に向けて改善意識の啓発や情報共有等に取り組んでいるところです。
そして長与町では2020年度より、新型コロナウイルス感染症のまん延を受け、町長の発信でテレワーク制度の導入が推し進められました。
制度の導入に当たっては、ICTに関する方針決定や機器の調達はもちろんのこと、対象業務の抽出や人事管理上の課題をクリアする必要がありました。そのため総務課主導で若手職員を中心としたワーキンググループを立ち上げ、導入に向けた制度設計及び部署間調整を行ってきました。
コロナ禍でテレワーク制度導入の積極的な推進を検討。
シャドーIT ※の解消と三層分離への対応が課題に
※シャドーIT:社内で認可されていない通信端末やITシステム
導入経緯
テレワーク導入はトップダウンで決定したものでしたが、具体的な方策については総務課と情報管理部門で詳細を詰めることにしました。そこでテレワークに必要な環境構築の第一歩として、ビジネスチャットの導入が不可欠だろうと考えました。
ビジネスチャットを導入することで、テレワーク環境下での職員間のコミュニケーションを円滑にすることがねらいです。しかしながら、導入にあたっては課題が山積みでした。
その一つが「シャドーIT」の存在です。職員を対象にアンケート調査を行ったところ、業務で私用のチャットアプリが使用されていました。たしかに円滑なコミュニケ-ション実現のためチャットアプリの活用は有効ですが、シャドーITではセキュリティー面に問題があります。
また 自治体特有のネットワーク環境も課題の一つ。地方自治体では個人番号利用事務系・LGWAN接続系・インターネット接続系の三層からなるネットワークを分離させなければならない問題も抱えていました。
遠隔の業務を想定した環境が整っておらず、テレワークを推進する上で職員間のコミュニケーション円滑化のためには対面・口頭に準ずる連絡手段は必要不可欠で、導入にあたっての課題解決が急務でした。
これらの問題を解決するためにはどうすれば良いのかを踏まえ、いくつかのビジネスチャットの比較検討を慎重に行いました。(市川氏)
自治体特有の課題解決につながるビジネスチャットを模索。
コストパフォーマンスとセキュリティーに優れ、NTTグループでの利用実績への信頼もありelganaを選定しました
導入の決め手
いくつかのビジネスチャットを比較検討した結果、最終的にNTTのビジネスチャットelganaを選定しました。
まず、大きな決め手のひとつとなったのはelganaのコストパフォーマンスの高さです。まずは閉域網のLGWAN接続系に対応したビジネスチャットの導入も検討しましたが、導入コストが課題でした。一方でelganaは、無償利用できる範囲が広く、これほどのクオリティは、他に類を見ませんでした。
そしてもうひとつの大きな理由は将来性です。現状は、普段、職員が業務で利用するネットワークは、閉域網のLGWAN接続系ネットワークが大部分ですが、今後は柔軟にシステム運用ができるインターネット接続系がメインになると予測しています。
elganaはインターネット接続系のみに対応したツールですが、そういったインターネット接続系活用へのシフトを見据えたうえで、セキュリティーの高さから今後も活用可能と考えたのです。(松永氏)
そしてもう一つの選定理由は信頼性。信頼には2つあります。
一つはNTTグループ内での利用実績への信頼です。今後サービス面も拡充、バージョンアップされると聞いており、期待も大きいです。(白石氏)
もう一つは、窓口となる営業担当さんへの信頼です。物理的な距離も近く、何かあればすぐに駆け付けてくれるという安心感もあります。さらには、データセンターが国内にある点も、導入の決め手となりました。(越智氏)
従来滞っていた業務がスムーズに。
情報共有も飛躍的に効率化
導入後の効果
elganaを導入してから、従来滞っていた業務が円滑に進むようになりました。
直近の事例でいうと、部署間協議や部署横断的な会議に合わせ、各会議用のトークルームをelganaに作成して日程調整を行いました。特に既読者表示機能が役立っていますね。
また近年、全庁的な調査業務が増えていて担当者レベルでの連絡調整を行う必要があります。これまでは個別に対面、電話等で質問を受け付け、それぞれに回答していたため、類似の質問に答えることも多く、業務効率向上の観点からも迅速な情報共有が課題でした。しかし現在はelganaで「質問回答の事例」をトークルーム内でシェアし、業務の効率改善につながっています。
導入当初はテキストベースのコミュニケーションに戸惑いを覚える職員もいましたが、現在は必要に応じて補足は口頭、詳細はチャットで、などチャットとの使い分けが浸透しており、様々な利用シーンが広がっています。(市川氏)
elganaを通じて行政サービスの質を維持・向上したい。
未来のまちづくりにはICT技術の利用は不可欠
今後の展望
現在elganaのさらなる活用に向けて、役場内に職員用のWi-Fiアクセスポイントの設置を予定しています。それに伴い庁内会議のペーパーレス化も推進中で、elgana上で会議資料を配布することも検討しており、既に一部の会議ではテスト運用を開始しています。
そのほか2021年8月集中豪雨において、町内各所に避難所を開設した際には、延べ132人の職員を動員しましたが、本部と各避難所との情報共有・コミュニケーションが同時的に行え、円滑な避難所運営にも効果を発揮しています。
さらにイベント開催時の連絡や資料の共有、現場での工事等を所管する部署において写真や位置情報などをelganaトークルーム内で共有するなどの活用も行っています。 また、これまで職員向けに行っていた館内放送や休日中の緊急連絡の内容を、elganaで共有するなどインフォメーション機能の利用を段階的に強化しています。
人口減少や少子高齢化の問題には、長与町も例に漏れず直面しています。現状のままでは、近い将来、少ない職員数で増大する業務を処理することになり、行政サービスの質の低下を招くことも否定できません。よって、手続きの簡素化・業務の効率化が肝要であり、その為にはICT技術の活用は不可欠だと考えています。長与町が掲げる幸福度日本一のまちづくりを実現するためにも、今後もICT技術を活用することで、さらなる業務効率化を実現し、行政サービスの質の維持・向上を目指していきたいと考えています。(市川氏)