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電子帳簿保存法で紙の請求書はどうする?保存方法や注意すべきポイントを解説

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この記事でわかること

  • 電子帳簿保存法の要件を理解し遵守することで、法的リスクを回避し、企業の信頼性を高めることができます。
  • 紙の請求書を紙のまま保存することも現状認められていますが、欠損の可能性や保存場所の確保など長期的な課題があることを把握しておく必要があります。
  • 真実性と可視性を確保するために、適切なシステムを導入し、運用ルールを整備することが望ましいといえます。

2024年の電子帳簿保存法の改正により、請求書をはじめとする国税関係書類の取り扱いが大きく変わりました。特に、電子取引データの保存義務化は多くの企業に影響を与えています。現行の法制度では、請求書を紙で受領した場合と電子データで受け取った場合、どのように対応すればよいのでしょうか。

本記事では、電子帳簿保存法に基づいた紙の請求書の適切な保存方法やスキャナ保存の要件、電子データで受け取った場合の対応方法などを解説します。

目次

電子帳簿保存法とは?

電子帳簿保存法は、企業が作成・保存する国税関係帳簿書類(仕訳帳、総勘定元帳、損益計算書、貸借対照表など)について、一定の要件の下で電子データによる保存を認める法律です。また、電子取引を行った際の取引情報(注文書、契約書、領収書、見積書、請求書等)のデータ保存義務化、紙の国税関係書類をスキャナ保存する際の要件緩和などが含まれています。

2022年1月に改正(2024年1月に完全義務化)された電子帳簿保存法では、電子取引データの保存が義務化され、多くの企業が対応を迫られました。

参考:電子帳簿保存法が改正されました|国税庁

紙の請求書を受け取った場合はどうする?

取引先から紙の請求書を受け取った場合、大きく分けて「紙のまま保存する」か「スキャナで電子データ化して保存する」の2つの方法があります。以下で詳しくみていきましょう。

紙のまま保存する

電子帳簿保存法では、一定の要件を満たせば、紙の請求書を原本として保存することが認められています。具体的には、紙の請求書を取引年月日や取引先ごとに整理し、ファイリングするなどして適切に管理する必要があります。

保存期間は原則として7年間(欠損金の繰越控除を適用する場合は最長10年間)で、税務調査などの際に速やかに提示できるようにしておくことが重要です。なお、紙で保存する場合は、電子帳簿保存法のスキャナ保存の要件を満たす必要はありません。

スキャナで電子データ化して保存する

紙の請求書をスキャナやスマートフォン、デジタルカメラで読み取り、電子データとして保存することも可能です。この方法を選択する場合、後述する電子帳簿保存法で定められたスキャナ保存の要件を満たす必要があります。

要件を満たして電子化すれば、一定期間経過後に原本である紙の請求書を破棄することも可能です。ただし、書類を受領または作成してから概ね7営業日以内という入力期間の制限もあるため、注意が必要です。

紙の請求書をスキャナ保存する際の注意点

ここでは、紙の請求書をスキャナ保存する際の電子帳簿保存法における要件について、特に重要なポイントを解説します。

解像度やファイル形式

スキャナ保存では、解像度200dpi以上、かつカラー画像(赤・緑・青それぞれ256階調・約1677万色以上)での読み取りが求められます。一般的な文書はカラーで読み取る必要があり、ファイル形式はPDFやJPEG、TIFFなどが利用できますが、PDF形式が推奨されています。

これらの要件は、電子化されたデータの視認性を確保し、内容を正確に確認できるようにするために定められています。

関係書類の備え付け

スキャナ保存を行う場合、システム関連書類の備え付けが必要です。具体的には、使用システムの概要書、操作説明書、仕様書、また電子帳簿保存法に関する事務手続きを明らかにした書類(事務処理マニュアル)などです。

これらを用意し、必要に応じてすぐに確認できるようにしなければなりません。これらの書類は、システムの運用方法やデータの管理方法を明確化し、適切な運用を担保するために必要となります。

「真実性の確保」と「可視性の確保」

スキャナ保存においては、「真実性の確保」と「可視性の確保」という2つの重要な要件を満たさねばなりません。「真実性の確保」とは、データの改ざんや不正な変更を防ぐための措置です。具体的には、タイムスタンプの付与や、訂正・削除の履歴が残るシステムの利用などが求められます。

「可視性の確保」とは、保存されたデータを必要に応じて確認できるようにするための措置です。整然・明瞭な形で出力できること、取引年月日、取引金額、取引先などの主要項目を検索できる機能の確保などが必要となります。

電子データの請求書を受け取った場合はどうする?

電子メールやEDIシステムなどで電子データの請求書を受け取った場合、どのように対応すればよいのでしょうか。ここでは、詳しい保存方法を解説します。

電子データのまま保存する必要がある

電子データとして受け取った請求書は、原則として電子データのまま保存する義務があります。これは2024年1月に完全義務化された電子帳簿保存法により、電子取引データの保存義務が強化されたためです。

電子取引に該当する場合は電子データのまま、「訂正削除の防止に関する事務処理規程(※)」に準ずる措置を講じて保存するか、タイムスタンプが付与された後にデータを受け取り保存する必要があります。単に印刷して紙で保存することは認められていないため注意が必要です。

※参考:電子帳簿保存法徹底対策サイト

「真実性の確保」と「可視性の確保」の要件を満たす必要がある

電子データの請求書を保存する際も紙をスキャナ保存する場合と同様に、「真実性の確保」と「可視性の確保」の要件を満たす必要があります。具体的には、前述したタイムスタンプの付与や訂正・削除履歴が残るシステムの利用、ディスプレイやプリンタなどでの速やかな出力、主要項目での検索機能の確保などが求められます。

これらの要件を満たすためには、適切なシステムの導入や運用ルールの整備が欠かせません。

自社で発行した紙の請求書はどうする?

自社で発行した紙の請求書の控えについては、原則として法的な保管義務はありません。ただし、取引の証憑として、また税務調査の際などに参照できるよう、任意で保管しておくことが推奨されます。なお、保管する場合は、紙のままでもスキャナ保存でも構いません。詳しくは、以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。

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紙の請求書の保存に「ClimberCloud」を導入した事例

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電子帳簿保存法では、紙の請求書は紙のまま、またはスキャナで電子化して保存できます。電子データで受け取った請求書は、電子データのまま保存することが義務付けられています。いずれの場合も、「真実性の確保」と「可視性の確保」の要件を満たす必要があります。

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