自社で発行した請求書の保管義務は?
自社が発行した請求書の控えについて、法的な保管義務はあるのでしょうか。ここでは、法的要件やインボイス制度上のルールに触れながら、自社が発行した請求書の保管義務について解説します。
自社発行の請求書は保管義務がない
原則として、自社が発行した請求書の控えには、法的な保管義務はありません。取引先に原本を渡した時点で、自社の手元に残る控えはあくまでも「写し」であり、法的効力を持つのは取引先に渡した原本です。しかし、取引の記録や経理処理の確認、税務調査の際の証憑書類として、実務上は任意で保管することが推奨されます。控えを保管しておくことで、後々のトラブル防止や業務の円滑化にもつながります。
インボイス制度での控えの保管義務
2023年10月から開始されたインボイス制度では、適格請求書(インボイス)を発行した事業者に対して、その控えの保管が義務付けられています。適格請求書発行事業者は、取引の相手方(課税事業者に限る)から求められたときは、適格請求書を交付しなければなりません。そして交付した適格請求書について、その写しを作成し保存する義務があります。これは、消費税の仕入税額控除の適正な運用を確保するための措置です。
請求書の控えはコピーで対応可能
請求書の控えは必ずしも原本である必要はなく、コピーや電子データでの保存が認められています。重要なのは、記載内容が原本と同一であり、必要に応じて速やかに参照できる状態で保存されていることです。特に、電子データで保存する場合は、電子帳簿保存法の要件を満たす必要があり、データの真実性や可視性の確保が求められます。
自社で発行した請求書の保管期間
自社で発行した請求書の控えを保管する場合、その期間は法人と個人事業主で異なります。ここでは、それぞれのケースでの保管期間について解説します。
法人の場合
法人が自社発行の請求書控えを保存する場合、保管期間は原則7年間です。これは、法人税法で帳簿や証憑書類の保存期間として定められています。ただし、欠損金の繰越控除を適用する場合は最長10年間の保存が必要な場合もあるため、注意が必要です。なお、請求書の控えの期間は、事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から起算されます。
個人事業主の場合
個人事業主が請求書の控えを保存する場合、保管期間は原則5年間です。これは、所得税法に基づくもので、青色申告・白色申告を問わず適用されます。ただし、消費税の課税事業者である場合は、消費税法に基づき法人と同様に7年間の保存が義務付けられています。5年もしくは7年の保管期間は、確定申告の提出期限の翌日から起算して計算します。
自社で発行した請求書の保管方法
自社で発行した請求書の控えは、紙媒体または電子データのいずれかの方法で保管できます。ここでは、それぞれの方法における注意点を解説します。
紙媒体での保存
紙の請求書を保管する場合は、取引先別や日付順などの管理しやすい方法で整理し、バインダーやファイルボックスなどを用いて適切にファイリングすることが重要です。また、紙媒体は劣化や破損のリスクがあるため、保管場所にも配慮が必要です。
直射日光や湿気を避け、火災などのリスクから守れる場所に保管してください。なお、紙で保管していると保管スペースが足りなくなる可能性があるため、定期的に不要な書類の廃棄を行うことをおすすめします。
電子データでの保存
電子データで請求書を保存する場合は、電子帳簿保存法の要件を満たす必要があります。具体的には、3つの要件があります。
- 真実性の確保:データの改ざん防止措置(タイムスタンプの付与、改ざん防止システムの利用など)が必要
- 可視性の確保:ディスプレイやプリンターなどで速やかに出力できる状態
- 検索機能の確保:取引年月日、取引先、金額などですぐに検索・参照できる状態
これらの要件を満たすためには、適切なシステムの導入や運用ルールの整備が不可欠です。なお、請求書を電子化するポイントを以下の記事で解説しているので、ぜひ参考にしてください。
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自社発行の請求書の控えは、インボイス制度では保管が義務付けられています。保管期間は法人で原則7年、個人事業主で原則5年(消費税課税事業者は7年)です。保管方法は紙または電子データが選べ、電子データの場合は電子帳簿保存法の要件を満たす必要があります。
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