タイムカードをExcelで管理する方法
Excelで勤怠情報を管理するうえで最初に準備すべきなのは、日々の出退勤時刻を入力するシートです。テンプレートを使う方法や自作する方法などがあり、いずれにしても必要な項目を整理しておくことが重要です。特に出勤、退勤、休憩開始、休憩終了といった勤務時間を正確に収集できるようにしましょう。
ここでは、Excelの関数を用いてタイムカードを管理する具体的な手順を解説します。
1.テンプレートか自作のシートに出退勤時刻を入力する
Excelでタイムカードを管理するには、テンプレートの利用、自社用シートの作成といった2つの方法があります。テンプレートを利用する場合、日付・出退勤時刻などの基本項目が設定されているため、すぐに利用できます。自作シートなら、勤務形態や集計方法に合わせて、自由に項目を設定することが可能です。いずれも、従業員が正確に入力できるよう、シンプルなフォーマットを心がけましょう。
テンプレートか自作かを選ぶ際のポイントは、扱いやすさと正確性、そして自社の運用体制に合っているかです。頻繁にルールが変わる職場であれば、最初から柔軟に調整できる自作シートのほうが向いている場合もあります。
2.関数で勤務時間を自動計算する
Excelの関数を使うことで、出退勤時刻から勤務時間を自動で計算できます。手作業での計算ミスを防ぎ、業務効率が上がるでしょう。
たとえば、B2セルに出勤時刻、C2セルに退勤時刻、E2セルに休憩時間が入力されているとします。この場合、D2セルに以下の関数を入力してください。
=C2-B2-E2
この関数は、退勤時刻から出勤時刻と休憩時間を引いて、勤務時間を計算しています。休憩時間も反映し、正確な勤務時間を把握しましょう。なお、セルの表示形式を「時刻」に統一するほか、シリアル値に注意する必要があります。
3.関数で1ヶ月の総労働時間を算出する
Excelで日々の勤務時間を合計し、1ヶ月の総労働時間も簡単に算出しましょう。
たとえば、D列に各日の勤務時間が入力されている場合、総労働時間を表示したいセル(例:D33)に、以下の関数を入力します。
=SUM(D2:D32)
SUM関数は、指定範囲(ここではD2:D32)の数値を合計する関数です。この設定で、手作業での集計作業がなくなり、負担を大幅に軽減できます。残業時間等の計算も、別のセルに関数を設定することが可能です。
4.関数で1ヶ月の給与額を計算する
1ヶ月の総労働時間から給与額も、Excelで計算しましょう。
たとえば、E33セルに総労働時間、F2セルに時給が入力されている場合、給与額を表示したいセル(例:G2)に、以下を入力します。
=E33*F2
この設定で、総労働時間×時給の給与額が自動表示されます。日給制の場合、F2セルに日給、G2セルに出勤日数なら、H2セルは「=F2*G2」と入力しましょう。
Excelの自動計算で、手作業の計算ミスを防ぎ、正確な給与計算ができます。ただし、計算式や参照セルの定期的な確認が必要です。
また、税金や社会保険料といった法定控除を正しく計算するには、正確な税率表や保険料率表を参照する必要があります。Excelでの管理は決まった単価と労働時間を掛け合わせる程度までに留めておき、複雑な計算は給与計算システムと併用する方法を検討するのもよいでしょう。
勤怠管理用のExcelテンプレート
Excelの無料テンプレートを活用すると、すぐに勤怠管理業務に取り入れられます。テンプレートには日付や出退勤時刻、休憩時間などの項目に加え、勤務時間や給与額を自動で計算する関数も組み込まれています。そのため、シンプルな入力作業だけで勤怠管理が可能です。
もちろん、自社の運用ルールに合わせて自由にカスタマイズすることもできます。以下にテンプレートをダウンロードできるサイトを紹介していますので、利用して業務負担を減らしましょう。
EXCEL勤怠テンプレート(別ウィンドウで開きます)
タイムカードをExcelで管理するメリット
タイムカードの管理をExcelで行う場合、どのようなメリットを享受できるのでしょうか。3つの観点から見ていきましょう。
簡単な関数と計算で管理できるため業務を効率化できる
Excelの関数を使うことで、出退勤の記録から給与計算まで自動化できます。手入力の負担が減り、計算ミスを防ぎ、勤怠管理業務の効率が大幅に向上するでしょう。
たとえば、SUM関数で1ヶ月の労働時間を集計し、IF関数で遅刻や早退の管理ができます。Excelの関数を活用し、勤怠管理を効率化しましょう。
自由度が高く自社用にカスタマイズしやすい
Excelなら企業ごとの勤怠管理ルールに合わせて柔軟にカスタマイズできます。テンプレートをベースに、就業時間の計算式や休憩時間の自動控除など、自社仕様に設定可能です。
就業規則が変更された場合でも、項目や関数を変更すれば、すぐに対応できます。業務の変化にも対応しやすい点が、Excelを使う大きなメリットといえるでしょう。
データで管理するため共有しやすい
Excelファイルとして勤怠データを保存しておけば、メールやクラウドストレージで共有することで、離れた拠点や在宅勤務者とも迅速に情報をやり取りできます。
紙のタイムカードでは管理者の手元に集約するまで時間がかかったり、紛失リスクがあったりしますが、電子データであればそのような問題を低減できるでしょう。さらに、バックアップも容易に取得できるため、データの保存性を確保できます。
タイムカードをExcelで管理するデメリット
Excelでのタイムカード管理は便利ですが、どうしても避けられないリスクや手間も存在します。ここでは、3つのデメリットを紹介します。
ヒューマンエラーが発生しやすい
Excelは非常に便利なツールですが、最終的にデータを入力するのは人間です。出退勤時刻や休憩時間の入力を誤ってしまえば、間違った勤務時間が集計され、給与や残業時間にまで影響を及ぼします。
また、数式の修正やコピー&ペーストの際に意図せずセル参照がずれてしまうなどのエラーも発生しやすいため、担当者には常に注意深い作業が求められます。
データの改ざんリスクがある
Excelファイルはセルを自由に編集できるため、悪意を持った従業員がデータを改ざんしてしまう可能性は否定できません。パスワード保護やシート保護などの機能はありますが、完全に編集を防ぐことは難しい場合が多いです。
特に勤怠情報は法令違反や未払い残業代などの重大なトラブルに直結しかねないため、セキュリティの脆弱性に関しては慎重な配慮が必要となります。
法規制への迅速な対応が難しい
労働基準法などの関連法令が改正された場合、Excelのフォーマットや計算式を速やかに見直す必要が生じます。たとえば、残業時間に対する割増率の変更や、有給休暇の付与義務が強化されるといったケースに対応するためには、担当者が手動で設定を変更しなければなりません。
システムによる自動アップデートがないため、最新の法規制に追随しづらい点がデメリットとして挙げられるでしょう。
Excelよりも簡単かつ正確に勤怠管理を行う方法
Excelでの勤怠管理は手軽ですが、入力ミス、データ改ざん、法改正への対応など、課題も少なくありません。そこでおすすめしたいのが、クラウド型勤怠管理システムの導入です。
「KING OF TIME for elgana」なら、ビジネスチャット「elgana(エルガナ)」から簡単にチャットで打刻でき、出退勤を自動記録します。給与計算ソフトとの連携もできるため、面倒な計算作業も不要です。法改正にも自動で対応されるため、最新の法令に準拠した勤怠管理ができるのも魅力です。
手作業を減らし、正確に勤怠管理をするために、「KING OF TIME for elgana」を検討してみてはいかがでしょうか。
タイムカードの管理ならExcelではなく勤怠管理システムがおすすめ!
Excelでのタイムカード管理は低コストで手軽な一方、入力ミス、法改正への対応、データの改ざんリスクなどの課題もあります。より正確で効率的な勤怠管理を実現するには、専用の勤怠管理システムの導入がおすすめです。
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勤怠管理は企業経営や従業員の働き方に直結する重要な業務です。無料のExcelテンプレートを試した上で不便を感じたら、ぜひ次のステップとしてクラウド型勤怠管理システムへの移行を検討してみてください。