企業におけるFAXの利用状況は?
日本国内の企業におけるFAXの利用は、現状でどれくらいあるのでしょうか。デジタル化が進められている実態も踏まえて、政府が集計しているFAX利用状況のデータを以下で紹介します。
FAXの利用率は減少傾向にある
CIAJ(一般社団法人情報通信ネットワーク産業協会)画像情報ファクシミリ委員会が行った2022年度の調査によると、国内企業の43.7%が業務でFAXを使用しています。デジタル化やペーパーレス化が進む社会にあっては、依然として高い使用率です。しかし、前年比で見ると「日常的に使用」「たまに使用」と回答した割合は2.2%減少しました。
この結果からも分かるように、FAXの利用率はまだ半数近くの企業でありますが、デジタル化・ペーパーレス化が進んでいく社会情勢もあり別の手段に移行している企業が増えていると考えられます。
引用:「ファクシミリの利用調査結果」を公開 ~依然として6割が日常の業務フローの中でファクスを利用~|一般社団法人情報通信ネットワーク産業協会
官公庁のFAX廃止に向けた取り組み
デジタル庁の河野太郎大臣は2022年末の記者会見で、各府省のFAX利用の見直しを進めていると発表しました。特殊な環境を除き、336件中286件の業務でFAXを廃止済、または廃止予定としています。各省庁もFAXの利用廃止・縮小に取り組んでおり、国全体でデジタル化を推進する方針となっています。
FAXの廃止が進まない理由
FAXの廃止を検討していても、取引先や社内の事情により推進できないケースがあるでしょう。具体的には、以下で紹介するような理由が考えられます。
取引先がFAXを利用している
取引先とのやりとりでは、相手先の通信手段に合わせる必要があります。FAXを廃止したくても、取引先がFAXを利用している場合、一方だけが廃止に踏み切るのは難しいでしょう。
特に、長年の取引先や中小企業との取引では、FAXが主要な通信手段であるケースが多く存在します。取引先でのFAX撤廃が進まない限り、自社だけがFAXを廃止するのは難しいのが現状です。
業務プロセスの見直しが必要になる
FAX廃止には、業務プロセスの見直しが不可欠です。FAXを使った業務を洗い出し、電子化やシステム化を進めなければなりません。
たとえば、書類のデジタル化やデータ連携、承認フローの電子化など、業務全体を見直す必要があります。このような業務プロセスの見直しに時間と労力がかかることが、FAX廃止が進まない一因となっている可能性があるでしょう。
ITツールに苦手意識のある人が多い
FAXは誰でも簡単に使えるのに対し、ITツールの操作は慣れるのに時間がかかるため、不安や苦手意識を感じる人もいるでしょう。特に、長年FAXを利用してきた人や年配者にとっては、ITツールへの移行は大きな心理的ハードルとなります。
「ITツールを使いこなせるか不安」「FAXの方が便利」といった意識が、FAX廃止を妨げる要因となっています。
FAXを廃止するメリットとは
長年FAXを利用して使い慣れていたとしても、FAXを廃止してデジタル化を進めることには大きなメリットがあります。ここでは、FAXを廃止するメリットを4つ紹介します。
業務効率や生産性の向上
FAXの送受信や書類の管理には、多くの時間と手間がかかります。しかし、FAXを廃止してデジタル化を進めれば、書類の送受信や管理にかかる作業の大幅な削減が可能です。
また、電子化されたデータは紙の書類より検索や共有が容易になるため、必要な情報にすぐにアクセスできます。その結果、業務効率や生産性が向上し、従業員はより価値の高い仕事に注力できるようになるでしょう。
ペーパーレス化の促進
FAXを廃止することで紙の使用量を大幅に削減できるため、ペーパーレス化につながります。また、FAX機器の維持費やインク代、電話回線料金など、FAXに関わるコストも削減できるでしょう。
さらに、ペーパーレス化は経費削減を実現できるだけでなく、環境への負担軽減にもつながるため、SDGs(持続可能な開発目標)への対応など企業イメージ向上が期待できます。FAXの廃止は、企業のコスト対策と社会貢献を同時に実現する有効な手段の一つです。
テレワークへの対応
FAXは物理的な機器を必要とするため、テレワークへの対応ができません。自宅にFAX機器がない場合、FAXの送受信ができず、出社が必要となるためです。
課題解決には、FAXを廃止してメールやクラウドサービスなど、電子的な通信手段を導入することが有効です。社内でデジタル化が進めば、場所を問わずに業務を遂行できるようになり、テレワークへの対応が可能となります。
セキュリティの強化
FAXを利用していると、番号の入力ミスや誤った宛先への送信により、機密情報が意図せず外部に流出してしまうリスクがあります。情報漏えいのリスクを回避するには、FAXを廃止してセキュリティ機能があるデータ通信手段を導入するのが有効です。
たとえば、暗号化されたチャットツールやクラウドサービスを活用することで、機密情報の保護を強化できます。FAXの廃止は、情報化社会でビジネスを行っていくうえで必要なセキュリティ対策に欠かせない取り組みだといえるでしょう。
FAX廃止時の代替手段3選
今後、FAXの廃止が進んだ場合、FAXに変わるものとしてはどんなものがあるのでしょうか。主要な代替手段を3つ紹介します。
データ共有サービス
データ共有サービスは、FAXの代替手段として広く活用されています。クラウド型のデータ共有サービスでは、インターネット上の仮想空間にデータを保管し、関係者で共有することができます。
ファイル転送サービスとは異なり、共有したデータをクラウド上に保管可能で、アクセス権を持つ人は誰でも自由に閲覧・ダウンロード・編集できるのが特長です。データ共有サービスを導入することで、FAXの代わりとして効率的な情報共有が可能となるでしょう。
インターネットFAX
インターネットFAXは、FAXの送受信をインターネット経由で行うサービスです。専用のFAX機器は不要で、場所を問わずにパソコンやスマートフォンから直接FAXを送受信できます。
送信先のFAX番号を入力して添付ファイルを送信するだけで、相手先のFAX機器で送信・印刷されます。受信したFAXは、PDFなどの電子ファイルとしてメールで受け取れます。
ビジネスチャット
ビジネスチャットは、社内コミュニケーションを活性化させるコミュニケーションツールです。チャット機能やグループ機能、ファイル共有機能など、業務効率につながる便利な機能が備わっていることから、多くの企業で導入が進んでいます。
NTT西日本のビジネスチャット「elgana」は、基本機能のほかにアンケート機能やピン止め機能、クリップ機能など、社内の情報共有やコミュニケーションを円滑に進めるための機能が豊富です。また、導入から運用までの充実したサポート体制も整っています。セキュリティ機能も備わっているので、FAXの代替手段としておすすめのツールです。
FAX廃止時のポイントとは
FAXを廃止する際、すぐに代替手段への移行を始めるのではなく、いくつか対応すべき点があります。ここでは、FAX廃止時のポイントを3つ紹介します。
取引先への配慮を忘れない
FAXの廃止を進める際は、取引先の事情を十分に考慮しておくことが大切です。FAXが主要な通信手段となっている取引先がある場合、代替手段の提案や移行期間を設けるなど、丁寧な対応を心がけましょう。取引先の理解と協力を得ることで、スムーズにデジタル化を推進できます。
一方的な押し付けは避け、取引先との信頼関係を損なわないよう配慮することが大切です。
段階的に代替ツールを導入する
全業務で一斉にFAXの廃止およびデジタル化を進めてしまうと、社内外に混乱を招く可能性があります。FAXの廃止を進める際は、まずメールや社内チャットなどの代替ツールを部分的に導入し、徐々に範囲を広げていくのが得策でしょう。
社員がツールの使用に慣れ、取引先とのコミュニケーションにも問題がないことを確認しながら、段階的にFAXを廃止していきましょう。一部の部署や取引先からスモールスタートし、最終的には全社的なFAX廃止を目指すのが理想的です。
電子帳簿保存法に対応する
FAXを廃止する際は、電子帳簿保存法への対応が欠かせません。受け取った文書を法令に準拠した形式で電子保存するための適切なシステムを導入することが重要です。
具体的には、タイムスタンプの付与や検索機能の確保など、法令で定められた要件を満たす必要があります。また、セキュリティ面での対策も忘れてはなりません。電子化した文書の漏えい防止や不正アクセス対策などを徹底し、法令遵守とデータ保護の両立を図りましょう。
ビジネスチャット「elgana」の導入でペーパーレス化を実現した事例
医療法人華頂会の琵琶湖養育院病院では、紙の使用量削減と災害時の安否確認体制の構築が課題でした。従来は会議や情報周知のたびに大量の紙資料を配布・回覧するという状態で、金銭的・時間的に無駄なコストがかかっていました。
「elgana」導入後は、紙の使用量が30%削減され、会議資料の回覧時間も大幅に短縮できています。また、院長からの訓示や新たな治療法の情報をスピーディかつ確実にスタッフへ伝えられるようになりました。確実に情報が届けられるようになったことで、保健所の立ち入り検査でも高評価を得ています。
導入事例 医療法人 華頂会 琵琶湖養育院病院
「elgana」を導入して段階的にFAX廃止の取り組みをしていこう
FAXを廃止すると、業務効率化やペーパーレス化、セキュリティ強化などのメリットが享受できます。ただし、取引先がFAXを使用している場合は、相手への配慮を怠らず、段階的に移行していくことが重要です。FAX廃止時には、FAXに代わる情報共有ツールを導入して社内外でのコミュニケーションの円滑化を図りながら、デジタル化を進めていきましょう。
ビジネスチャット「elgana」は、業務効率化につながる機能や充実したセキュリティ機能が魅力のツールです。ファイル共有機能を活用すれば、FAXの代替ツールとして十分に活用できるでしょう。また、ITツールに慣れない社員が多くても、特別な教育を必要としないシンプルな操作性、手厚いサポート体制を備えているので安心して導入いただけます。
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