多くの企業が業務効率化を課題として、日々その実現のために取り組んでいます。しかし、何のための業務効率化なのか、その先にある本当の目的がおざなりにされていることが少なくありません。今回は、業務効率化を成功させるために明確にしておきたいポイントについて詳しく解説していきます。
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業務効率化
多くの企業が業務効率化を課題として、日々その実現のために取り組んでいます。しかし、何のための業務効率化なのか、その先にある本当の目的がおざなりにされていることが少なくありません。今回は、業務効率化を成功させるために明確にしておきたいポイントについて詳しく解説していきます。
そもそも業務効率化とはどのような意味なのでしょうか。中には「生産性向上」や「業務改善」などの言葉と混同して使用されているケースもあるようです。
まずは、それぞれの言葉の意味を確認しておきましょう。
「生産性」とは、「生産要素の有効利用の度合い」と定義されています。ここでいう生産要素は、いわゆる「ヒト、モノ、カネ」という経営資源であり、投入量に対してどのくらいの成果(利益)があるかということを意味しています。
公益財団法人日本生産性本部が毎年発表している「労働生産性の国際比較」の2020年の調査データによると、日本の時間あたり労働生産性は49.5米ドルで、OECDに加盟している38か国中23位。一人あたりの労働生産性もOECD加盟38か国中28位となる78,655米ドルという結果となっており、世界と比較しても労働生産性が低い国であることがわかります。労働生産性が低いということは、経営資源のうちのヒト、つまり、一人ひとりの労働力がアウトプットしている利益が少ないということです。
政府主導で「働き方改革」が叫ばれてから久しくなりますが、その大きな目的が「生産性向上」であったことを思い出す必要があります。
経済学では、企業が存在する目的は「利益の最大化」にあるとしています。これによって株主への配当、賃上げ、社会貢献が可能となります。そのためにも生産性の向上が命題となるわけです。
一方「業務効率化」はどのような意味なのでしょうか。「効率化」とは、辞書では「より効率的に作業等ができるようにすること」とされています。したがって業務効率化とは、業務をより効率的にするということです。
あえて定義するのであれば、「業務・業務時間・ミス・コストにおけるムリ、ムダ、ムラの排除」となります。それによって生産性が向上するため、業務効率化は生産性向上のための手段であると位置づけることができます。
では、「業務改善」は業務効率化とどのように違うのでしょうか。業務効率化とは「業務・業務時間・ミス・コストにおけるムリ、ムダ、ムラの排除」という意味でしたが、その具体的な方法が業務改善なのです。
後述するようにさまざまな業務改善によって業務効率化が可能になります。その意味では、業務効率化は生産性向上に向けた中間目標ととらえることもできるでしょう。
企業の最大の目的が利益の最大化であり、そのために生産性向上が必要であること、そしてその手段として業務効率化が行われ、具体的な方法がさまざまな業務改善であると説明しました。
ここでは具体的な業務効率化の方法、つまり業務改善策として7つの考え方をご紹介します。
企業では、長年の慣習として業務の手順が固定化しているケースが少なくありません。客観的にみれば、ムダな業務になっているものもあるでしょう。
何のために行っているのか、本当に必要なのか、業務を一つひとつ棚卸しして不要なものは排除し、必要な業務についても方法が適切であるのか確認します。
さらに、棚卸しした業務の優先順位の精査も重要です。自分がやりたい業務や取り組みやすい業務を優先した結果、業務効率が悪くなっていることも往々にして考えられます。業務の重要度と緊急度によって優先順位を付けましょう。
ムリ、ムダ、ムラの排除という点では、基準を設けることが重要になります。それが標準化です。具体的には、フォーマットの共有とマニュアル化ということになります。
業務連絡や会議の議事録等、繰り返し発生する業務は雛形となるフォーマットを共有しましょう。作業手順についてはマニュアルを作成し、フィードバックしながら更新することでさらなる改善を図ります。
パソコン上で行う定型業務や単純業務については自動化することで効率化することができます。この業務の自動化は、RPA(Robotic Process Automation)と呼ばれています。
例えば、営業業績データの月次レポート作成、問い合せメールからExcelへの転記、会議録の文字起こしなどは、RPAによって行うことができます。
人には向き不向きがあるため、本人が最大のパフォーマンスを発揮できる業務に配置することで生産性は向上します。
そのためには適性検査だけでなく、人事考課や1on1の結果を踏まえたデータを落とし込んだ人事情報システムによって従業員の情報を把握することが必要です。
官公庁も含めビジネスでのペーパーレス化が進んでいますが、さまざまな紙ベースの情報をデータベース化して管理しておくことは、紙やインク等のコスト削減になります。
また、それ以外にも情報の共有と保管が一元化されることで検索が容易になるという効果も期待できます。
業務のスピードアップを図ることができれば、業務時間の短縮になり生産性向上につながります。
簡単に取り込むことができるのが、ビジネスチャットの活用によるコミュニケーション速度の向上です。リアルタイムで複数人とやりとりできるのはメールにない機能であり、効果がすぐに実感できます。
業務の一部をアウトソーシングすることも業務改善の手法のひとつです。これによって重要な業務に人材を注力できるだけでなく、企業のスリム化することもできます。
具体的には、事務作業・財務・法務・システム管理等はアウトソース会社を活用することが可能な業務といえます。
坪 義生
社会保険労務士
じんじ労務経営研究所代表(社会保険労務士登録)、労働保険事務組合鎌ヶ谷経営労務管理協会会長、清和大学法学部非常勤講師、「月刊人事マネジメント」(㈱ビジネスパブリッシング)取材記者。千葉大学大学院社会科学研究科修士課程修了(経済学)。社会保険診療報酬支払基金、衆議院議員秘書、㈱矢野経済研究所、等を経て、91年、じんじ労務経営研究所を開設。同年より、企業のトップ・人事担当者を中心に人事制度を取材・執筆するほか、中小企業の労働社会保険業務、自治体管理職研修の講師など広範に活動。著書に『社会保険・労働保険の実務 疑問解決マニュアル』(三修社)、『管理者のための労務管理のしくみと実務マニュアル』(三修社)、『リーダー部課長のための最新ビジネス法律常識ハンドブック』(日本実業出版社、共著)などがある。
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